日本耳鼻咽喉科学会 新潟県地方部会

はなの病気とその解説

アレルギー性鼻炎

はるお君は小さいときは喘息〈ぜんそく〉の発作になやまされていましたが、小学校高学年になり発作はなくなりました。そのかわりに、一年中くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状が出るようになりました。特に、春先は症状がひどく、目のかゆみも出ます。耳鼻科でみてもらったところ、ダニと家のほこり(ハウスダスト)によるアレルギ-性鼻炎とスギの花粉症と診断されました。

1)アレルギ-性鼻炎とはどんな病気ですか。

人の鼻では、侵入してきた特定の物質(抗原)を自分以外の物質(異物)と判断すると、それを無害化しようとする反応(抗原抗体反応)がおこります。その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が出てくる病気をアレルギ-性鼻炎と言います。

2)アレルギ-性鼻炎と花粉症は違うのですか。

花粉症もアレルギ-性鼻炎のひとつで、草花の花粉が原因です。アレルギ-性鼻炎は決まった季節だけに鼻の症状がおきる季節性アレルギ-性鼻炎と、一年を通じておきる通年性アレルギ-性鼻炎に分けられ、花粉症は季節性アレルギ-性鼻炎の代表的な病気です。ただし、花粉症では鼻炎の他にも、結膜炎や咽頭炎など鼻以外のアレルギ-性炎症もおこります。

3)花粉症にはどんなものがありますか。

花粉症は国内だけでも約60種類あります。そのうち、春におきるスギ・ヒノキ花粉症がわが国では最も多く見られます。初夏にはカモガヤなどのイネ科の草花、秋にはブタクサ・ヨモギなどキク科の草花による花粉症も見られます。
北海道で見られるシラカバ花粉症のように、地域特有の花粉症もあります。

 

4)アレルギ-性鼻炎は遺伝しますか。

親のアレルギ-体質は子どもに受けつがれることが多いようです。両親や兄弟にアレルギ-があると、アレルギ-性鼻炎がおこりやすいといえるでしょう。ただし、アレルギ-性鼻炎の症状が出る時期(発症時期)や、アレルギ-を引き起こす原因物質には個人差があります。また、すべてが遺伝によって決まるわけではなく、さまざまな生活環境も影響します。

 

5)アレルギ-性鼻炎は何歳位からかかりやすくなるのでしょうか。

6歳前後から、医師の診察を受ける子どもが急に増えます。平成15年度の日本耳鼻咽喉科学会・学校保健委員会の調査では、アレルギ-性鼻炎にかかった率は小学校で9.3%、中学生で11.1%と報告されています。
最近は症状の出始めの年齢が低くなる傾向にあります。また、以前は子どもには少ないとされていた花粉症も増加しています。

 

6)住んでいる場所は影響しますか。

工場地帯や交通量の多い街道沿いなど大気汚染のひどい地域では、住宅地や田園地帯よりもアレルギ-性鼻炎が多いと言われています。花粉症では、原因となる植物の分布や風向きなどが影響します。

 

7)日常生活にどんな影響がありますか。

くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど鼻の症状が長く続くため、生活の質(QOL)は、心身ともに低下します。鼻づまりによる口呼吸のために、のどの渇きや痛み・かゆみ、頭痛を訴えることもあります。その他、不眠、授業中の居眠り、イライラ感、全身倦怠感や集中力の低下など学業への影響が出ることもあります。

 

8)アレルギ-性鼻炎の診断や検査はどのようにするのですか。

まず、鼻の中の状態を観察することからはじめます。アレルギ-性鼻炎の疑いがあれば、鼻水の中の細胞(好酸球)を調べたり、血液中のIgE抗体(抗原抗体反応に深く関わる物質)の値を測ります。アレルギ-の原因物質を探る検査(抗原検査またはアレルゲン検査)としては、1)皮膚試験、2)鼻粘膜誘発試験、3)特異的IgE抗体検査などがあります。これらの検査結果を総合して、アレルギ-性鼻炎を診断します。

 

9)アレルギ-性鼻炎は遺伝しますか。

この病気は根本的には体質にかかわっていますので、「治る」という言い方は適当ではないかもしれません。しかし、治療や日常生活での注意(抗原との接触を絶つことなど)により症状を軽くしたり、出にくくすることはできます。その治療としては、抗原をごく少量注射することから始め、次第に量を増やして、からだの免疫力を高める治療法(減感作療法)があります。抗原がハウスダストの場合は70-80%、花粉症では30-60%の有効率ですが、数年間、治療を続けることが必要です。この病気は根本的には体質にかかわっていますので、「治る」という言い方は適当ではないかもしれません。しかし、治療や日常生活での注意(抗原との接触を絶つことなど)により症状を軽くしたり、出にくくすることはできます。その治療としては、抗原をごく少量注射することから始め、次第に量を増やして、からだの免疫力を高める治療法(減感作療法)があります。抗原がハウスダストの場合は70-80%、花粉症では30-60%の有効率ですが、数年間、治療を続けることが必要です。

 

10) 耳鼻科では、その他にどのような治療が行われるのですか。

鼻水や鼻づまりをなくすために鼻の中を吸引し、薬を噴霧する鼻処置や薬の吸入治療(ネブライザー)を行います。飲み薬としては抗ヒスタミン薬などがあり、外用薬としては点鼻薬が使われます。最近はさまざまな種類の薬が開発されて、症状やその程度に応じて使い分けられています。耳鼻科医とよく相談して、自分にあった治療法を見つけてもらってください。

 

11)薬以外の治療法はないのですか。

アレルギ-反応のおきる鼻の粘膜をレ-ザ-照射したり、器具や薬を用いて焼灼〈しょうしゃく〉する手術療法などがあります。その他、鼻づまりがなおらないときには、鼻中隔〈びちゅうかく〉という左右の鼻のしきりをまっすぐにしたり、鼻の粘膜を切除する手術が行われます。手術に関しては、耳鼻科医とよく相談してください。

 

12)自分でできる予防法はありますか。

原因物質(抗原)との接触を断つことが一番の予防法になります。
ハウスダストやダニが原因であれば、寝具を日光に干したあと、掃除機でほこりやダニを吸い取ります。室内の掃除を頻回に行い、換気に注意し、ダニが発生しやすいカ-ペットや敷物の使用は避けましょう。花粉症の場合は、晴れた日や風の強い日の外出をなるべく控えます。また、帰宅時には室外で花粉を払い落とし、うがい・洗顔・洗眼などを行います。その季節には、窓も閉めておきましょう。花粉が飛びはじめる少し前から、予防的に薬を使いはじめる方法もあります。
日ごろから体調を整え、過労、ストレスを避け、規則正しい生活を心がけることも大切です。また、家庭でできる方法として、乾布摩擦〈かんぷまさつ〉や水泳などで皮膚を刺激することにより、鼻の過敏性〈かびんせい〉を低下させる鍛錬療法〈たんれんりょうほう〉があります。

 

13)他の病気との関連はありますか。

喘息やアトピ-性皮膚炎など、他のアレルギ-との関係が深いことがわかっています。また、鼻づまりや鼻水が続くと気管支炎などの呼吸器疾患や急性中耳炎、滲出性中耳炎〈しんしゅつせいちゅうじえん〉をおこしやすくなります。最近では、従来の慢性副鼻腔炎〈まんせいふくびくうえん〉とは異なるタイプの、アレルギ-が関係する副鼻腔炎も注目されています。

 

14)まちがえやすい、他の病気がありますか。

「かぜ」のひきはじめの症状と似ているので、気をつけましょう。また、アレルギ-性鼻炎に近い病気で、抗原がはっきりしない血管運動性鼻炎があります。これは症状がとてもよく似ており、治療もアレルギ-性鼻炎と同じような方法が用いられます。

 

15)鼻血との関係はありますか。

アレルギ-性鼻炎をおこしている粘膜は薄くて傷つきやすい、鼻がかゆくてこすりやすい、くしゃみが出やすく、鼻をなんどもかむためなどで、鼻血が出やすくなります。適切なアレルギ-性鼻炎の治療を受けると、鼻血は出にくくなります。

 

16)水泳をしてもよいのでしょうか。

水泳には皮膚を刺激して鼻の過敏性を低下させ、体質改善もはかれるので、結果としてアレルギ-性鼻炎をおこしにくくする効果があります。しかし、プ-ルの水の塩素濃度や水質が適性であることが大切な条件です。また、アレルギ-性鼻炎の症状が強いときは、中耳炎になりやすいので、水泳は休んだほうがよいでしょう。いずれにせよ、かかりつけの耳鼻科医と相談したうえで、それは決めましょう。

<日本耳鼻咽喉科学会HPより抜粋>