きょうこさんは、生まれつき聞こえが不自由で、小さいときから補聴器を使っています。今までは家から少し離れたところにある難聴学級に通っていましたが、家族や先生たちと相談して、来学年からは近くの通常の学級に通学することにしました。近所の友達と一緒に通えるのはうれしいのですけれど、クラスの友達にうまくとけこめるか、先生の授業がよくわかるか、少し不安な気持ちもあります。
1)最近、補聴器をつけている友達が通常の学級にふえていると思いますが、どうしてでしょう?
平成14年に学校に関する法律が改正されて、いままで聾学校〈ろうがっこう〉や難聴学級に通っていたお友達でも、学校側の受け入れ体制が十分であれば、通常の学級に通うことができるようになったからです。
2)補聴器をつければ、ふつうに聞こえるのですか?
補聴器をつけていても、聴力に問題のない子(健聴と言います)と同じように聞こえるというわけではありません。補聴器はすべての音を大きくするので、聞きたいことばが、雑音の中に埋まってしまったり、大きな音はわれて聞こえたり、ことばがひずんで聞こえたりします。ですから、難聴の友達と話すときには、それなりの気配りが必要になります。
3)補聴器を使っている友達と話すときには、どんな注意が必要でしょうか?v
(1)なるべく静かなところで (2)1対1で (3)口元がよく見えるようにして (4)はっきり、少しゆっくりと、普通より少し大きめの声で (5)表情を豊かにして (6)簡潔に 話してあげると聞きとりやすくなります。
4)きょうこさんは、先生が黒板にむかって字を書きながら話していると、ことばがよくわからないといっていましたが、どうしてですか?
補聴器を使っている人は、補聴器から入ってくる音と、話している人の口元のかたちや、舌の動きや、くちびるの閉じかたなどを合わせて、ことばの内容を理解しているので、後ろ向きで話している人のことばはとても聞きとりにくいのです。
5)きょうこさんは、放課後のそうじのときに、机やいすを動かす音が耳にひびいて痛くなると言っています。どうしたらよいのでしょう?
補聴器を使っている人は、周囲の大きい音が必要以上に大きく聞こえてしまう傾向があります。机やいすの移動のガタガタ音や、運動会のピストルの音には気をつけてあげましょう。また、机やいすを動かすときは脚にテニスボールをつけると静かになります。
6)朝礼や式典などのときのアナウンスは聞こえるのでしょうか?
朝礼や式典のスピーカの音は聞き取れないと考えてよいと思います。このような時は、周囲のお友達が話の内容を教えるようにしてあげてください。
7)先生の声が直接補聴器に入るようなものはないのでしょうか?
先生の声をマイクでひろって、それを電波で補聴器に入れるというFM補聴器というものがあります。これを使うと先生がそばにいなくても先生の声をよく聞きとることができる場合があります。
8)補聴器のほかに人工内耳〈じんこうないじ〉というものがあると聞いたことがありますが、どこが違うのですか?
人工内耳は、音を電気信号にかえ、この信号を内耳に入れた電極に伝えて、直接内耳の神経を刺激して音を感じさせようとするものです。難聴の程度が非常に重いと、補聴器を使っても音の判別ができないことがあります。生まれつきの重度の難聴の子どもでも、早期に人工内耳の手術をすると、ことばや聞き取りの発達などに大きな効果が期待できる場合があり、最近は小児の人工内耳装用者〈じんこうないじそうようしゃ〉は次第に増えてきています。人工内耳のお友達にも、補聴器のお友達と同じような配慮をしてあげてください。
<日本耳鼻咽喉科学会HPより抜粋>