たくや君は小さいころにムンプス(おたふくかぜ)にかかり、その後片方の耳が聞こえなくなりました。現在ことばの発達も順調で日常生活にも困ることはないのですが、これから先どうしたらよいでしょうか。
1)一側聾〈いっそくろう〉とはどんな病気ですか?
一側聾とは片方の耳が高度の難聴である場合を言い、1000人に1~2人と、比較的高い頻度で発見されます。学童期まで気づかれずに、健診ではじめて見つかることが少なくないので、学校保健上問題となります。原因は先天性遺伝性聾〈せんてんせいいでんせいろう〉かムンプス(おたふくかぜ)聾のどちらかの可能性が高いのですが、実際にはどちらかわからないこともあります。
2)治療の方法はありますか?
現時点では、残念ながら有効な治療法はありません。
3)聞こえるほうの耳が将来悪くなるおそれはないのですか?
聞こえない耳と同じように、反対の耳の聴力を失う可能性はほとんどありません。ただし、普通の耳と同じく、強い騒音や中耳炎などのために難聴となるおそれはあります。その場合には両側難聴になって大きなハンディキャップとなるので注意が必要です。
4)一側が聞こえないことがどの程度のハンディキャップになるのでしょうか?
正常の人のようにステレオで音を聞くことができませんが、一側の耳で聞くことに十分慣れていますので、実生活で大きなハンディキャップとはなりません。飛行機のパイロットにはなれないなど、特別の職業を選択できない制約をうけますが、それはきわめて例外的な場合です。
5)授業について特別な配慮がいるのでしょうか?
教室の座席はなるべく中央から聾の耳の側を選びます。そのほかには配慮は不要です。
以上のように、一側聾は社会生活上それほど大きいハンディキャップにはなりません。信頼できる耳鼻咽喉科で一度、精密な検査をうける必要があります。しかし、そのことでいたずらに驚いたり、神経質になったり、治療を求めて医者を渡り歩いたりすると、子どもにとってむしろ悪い影響を与えることになりかねません。
<日本耳鼻咽喉科学会HPより抜粋>